緊急事態宣言です
2021年 01月 08日
私(※)のアナルが緊急事態宣言である。
私はアラフォーの男である。世間でいうところの「おっさん」に相当する生き物である。10代、20代のうら若き乙女のアナル事情であれば、ワラワラと品性下劣な連中が湧き出でるのだろうが、おあいにくさま。私は「おっさん」であることを前提として、以下読み進めていただければ幸いである。誰がおっさんのアナルに興味を持つのだ、という至極まっとうな意見は隅に置き、私のアナル事情について述べたい。
別に興味がなければそれでいい。そっとブラウザを閉じていただきたい。私がスカトロジーに興味がないのと同様に、スカトロジストがおっさんのアナルには興味を示さないことも理解しうる。ただ、私は書いてみたいのだ。我がアナルについて。他の誰でもない私の排せつ器官として細胞分裂を繰り返し、私のアナルとして形成されたその細胞群に対して、畏怖と敬意を払いつつも書いてみたいのだ。このことに関しては誰にも文句は言わせないし、聞く耳もない。なぜなら、私のアナルは私のものだからだ。
なお、念のため述べるが、私は泌尿器科の専門家ではない。この記事は医学的な有用性をもっていないことはあらかじめ記載しておく。妙な期待をもって読まないでいただきたい。
本題に戻ろう。私のアナルが緊急事態宣言である。
前兆はあった。
数年前から頻繁に脱肛(だっこう)がみられるようになってきていた。脱肛、その名の通り肛門が本来あるべき所定の位置を脱することにより、脱肛である。肛門が肛門からまろび出る、とでも表現しようか。あるいは、肛門が肛門でなくなってしまう、とでも表現しようか。とにかく、数年前から私は脱肛と付き合ってきている。
私が好むと好まざるとにかかわらず、日々、肛門が自分を主張するのだから仕方ない。排せつ器官の一部としてしか存在意義を認められないことに苛立ちと焦燥を覚えた末の凶行か。「オレはここにいるぜ」という自意識過剰な中学生ではあるまいし、主張されても困ってしまうのが本音ではあるが、私もいい年齢の大人である。主張する肛門をやんわりとなだめすかすようにして、脱肛が起きる都度、浴室の湯舟に浸かり、脱肛した肛門を指で押し返すようにして肛門に挿入する作業を行ったものだ。
その作業はいわば、対話。アナルと私とががっぷり四つに組み合い、土俵際で押したり引いたり。人差し指でそっとささやくようにソフトタッチするだけで元の場所におさまる日もあれば、その逆もまたしかり。脱肛量が多い日には、人差し指と中指の2本の指を駆使して、職人のような繊細さと、時に重戦車のような強引さをもって肛門を制圧する日もあった。あくまでも主導権はアナルにあることを忘れてはいけない。相手は自意識過剰な中学生である。下手を打てば反社会的な行動に出ないとも限らない。仮に制圧に失敗した場合、アナルに手痛い反撃を喰らい、流血することになる。舐めてかかるとケガをすることになるのだ。
平時であれば、アナルはアナルである。我が肉体の内部においてウンコの放出の可否をコントロールするという崇高な機能を果たすはずである。仮にアナルが決壊すればとんでもない悲劇である。ましてや社会的動物である人間としては、アナルの決壊は自己の尊厳にかかわる非常事態である。そういう意味においてアナルは人間にとっての最後の砦。WWⅡドイツ軍にとってのベルリンである。アナルに対する敬意を忘れてはならない。
(なお、一部の過激派、倒錯思考をもった連中はアナルをウンコ放出機能のみならず性具として利用する趣向を持つようだが、それは本稿では誌面の都合上割愛したい。)
そんなアナルがここ数日、ついに宿主である私に対して明確に反旗を翻した。
脱肛が戻らないのだ。湯舟での対話を試みるも、相手方は明らかに態度を硬化させている。かなり強引に指でねじこもうとしたものの、アナルは帰らない。脱肛が常態化しつつあるのだ。これは、マズい。菅首相が対コロナで緊急事態宣言をするのであれば、こちらも同様に緊急事態宣言をしなければならない。
脱肛が拡大しおさまる気配がない。このままでは私のウンコ事情が崩壊しかねない。毎朝、流血と戦うことになりかねない。
したがって、私はここに宣言する。アナルが緊急事態です。
※齢70才を超える直系尊属が痔の手術を受けており、DNA・遺伝子にも【アナル×】の傾向。
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by maseda1001
| 2021-01-08 20:45